Q1 不動産鑑定士が価格等調査を行い、鑑定業者が発行する成果品には鑑定評価書の他、調査報告書や価格調査書があると聞きましたが、どのような違いがあるのでしょうか。
A 不動産鑑定士が鑑定評価活動を行う場合には、その統一的基準である不動産鑑定評価基準(以下、基準といいます)に則って行っていますが、これは鑑定評価制度の適切な運用に寄与し、もって不動産の適正な価格の形成に資することを目的としていますので、価格等を調査するに当たっては基準に則った鑑定評価を行うことを原則としています。すなわち、鑑定評価の基本的事項の確定から始まり、各段階の手順を踏んで鑑定評価額の決定、鑑定評価報告書の作成となります。このように価格等調査は、本来、基準に則った鑑定評価を行うべきですが、不動産を取り巻く環境の変化や様々な社会的ニーズにより、必ずしも基準に則らなくても良い場合もあり、実務上も多く実施されています。その最大の理由としては、時間や報酬等の制約があげられますが、そのレベル感は基準に従っている程度、成果報告書の記載内容等によって様々な形態があります。
Q2 また、鑑定評価書と調査報告書との内容は大きく異なるのでしょうか。
A 基準に則らない価格等調査であっても「対象不動産の経済価値を判定し、その結果を価額に表示」している場合には、鑑定法上では鑑定評価業務となりますから、その場合の成果報告書は、名称の如何にかかわらず鑑定法第39条1項の鑑定評価書の取扱いとなります。しかしながら、従来からの実務慣行上は基準に則った鑑定評価を行った場合は「(不動産)鑑定評価書」としていたので、当該実務慣行を踏襲し、その他の価格等調査の成果報告書のタイトルには「鑑定」又は「評価」という用語は用いないこととしました。また、「鑑定評価額」との違いを明確にするため調査価格等の表題にも「鑑定」又は「評価額」を用いず「調査価格」「意見価格」等の表題とします。なお、価格等調査ガイドラインによれば、調査価格等の近傍に「基準に則った鑑定評価とは結果が異なる可能性がある旨」と「成果報告書に記載された以外の目的での使用及び記載されていない者への調査価格等の開示は想定していない旨」を記載することが義務づけられています。更に、基準に則らない価格等調査においては原則として「正常価格」「特定価格」等の用語は用いず「収益還元法により算出した価格」など、どのような方法で価格等を求めるのかについて記載するものとしています。また、「基本的事項」及び「鑑定評価の手順」との主な相違点と依頼目的、調査価格等が開示される範囲又は公表の有無等に照らした当該相違の合理的な理由の記載が義務づけられています。
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Q 依頼者側で鑑定評価書にするか調査報告書にするかの選択ができるのでしょうか。
A 一般的に、不動産鑑定士の名称を用いて行われる価格等調査はいずれも鑑定評価と認識されている場合が多いと思われます。しかし、上記でも記述しましたが、鑑定評価書と調査報告書では基準に則っている程度、記載内容に応じて信頼感やレベル感が大きく異なります。従って、不動産鑑定士は受付段階で本件の依頼目的、公表・開示・提出の有無、範囲、対象不動産の概要等をお聞かせいただき、鑑定評価書か調査報告書かの判断及び協議をさせていただいております(業務の目的と範囲等、契約内容に関する事前協議)。なお、法令等により、鑑定評価が義務づけられている場合や、公表される第三者又は開示・提出先に大きな影響を与える場合は鑑定評価書が原則となります。
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Q 鑑定評価書以外の調査報告書発行のケースを教えてください。
A
(1) 調査価格等が依頼者の内部における使用に留まる場合。
・売買、賃貸借等に係る内部検討資料のため
・担保評価の支援のため
(2) 公表・開示・提出される場合でも公表される第三者又は開示・提出先の判断に大きな影響を与えないと判断される場合。
・企業会計上重要性が乏しいと判断される資産であるため
(3) 調査価格等が公表されない場合で全ての開示・提出先の承諾が得られた場合。
・取引予定先との打合せの参考資料の位置づけにとどまり、概ねの価格水準を把握することが目的であるため
(4) 基準に則ることが出来ない場合。
a.やむを得ず基準に則ることができない場合
・価格等調査の時点において、現在造成工事中又は建築工事中の工事が完了したものとしての価格等調査であるが、検査済証の交付、仮使用の承諾を得ていないため
b.基準に則ることができない前提条件に基づく場合
・価格等調査の時点において、提示計画通り、当該造成工事又は建築工事が完了したものとして価格等調査であるが、当該造成工事又は建築工事が未着手であり、かつ、開発許可又は建築確認等行政上の手続きも未了であることから、実現性・合法性が確認できないため
・早期売却を前提とした価格を求めるため(特定価格を求める場合を除く)
(5) 依頼目的、価格等調査の結果が開示される範囲又は公表の有無等を勘案して基準に則らないことに合理的な理由がある場合。
・昨年行った鑑定評価の再評価であり、価格形成要因に重要な変化がないため
・国土交通省が定める「財務諸表のための価格調査に関するガイドライン」に従っているため
・国土交通省が定める「証券化対象不動産の継続評価に関するガイドライン」に従っているため
等があげられます。
